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血液・一般検査

血球計算盤 算定法 Fuchs Rosenthal

フックスローゼンタ一ル(Fuchs-Rosenthal)計算盤は計算室ー面の単式計算盤です。計算室の容積は3.2μLで、絶対数の少ない細胞等の算定精度を高めるためビルケルチュルク計算盤の約4倍の容量となっています。白血球(約7×10⁶個/mL、径10μm)、髄液中の細胞、培養細胞など分布密度の低い細胞数の算定に使用します。
目盛標線は図-1のように縦横とも一辺の長さが4.000mmで、これが各4等分され全体が1mm×1mmの16個の大ブロック(大正方形)に区分されています。また各大ブロックは縦横とも4等分され、それぞれ16個のマス(小正方形)に分かれています。計算室の深さは、カバ一グラスをセットすると0.200(1/5)mmとなるので、各大ブロックの容積は0.2(1/5)㎣、1マスの容積は1.25×10⁻²(1/80)㎣となります。
以下2つの算定法について説明します。

4つの大ブロックを使用した白血球算定法

  1. チュルク液等を用いて血液の10倍希釈液を作ります。1回の算定に使用する液量は約40μLです。血球以外の算定の場合は1マスあたり細胞数が5~10個程度になるよう検体原液を希釈して下さい。希釈倍率の求め方:
    検体原液1mLあたり推定細胞数をA個、求める希釈倍率をz倍とすると
    (A/1,000×1マスの容積)/z<10、したがって、z>A/(8×10⁵)
  2. よく混和して細胞分布を均一にした希釈液をピぺットに採り、裏面記載の使用方怯にしたがい計算室に入れます。数分問静置して血球の沈下を待ち、100倍顕微鏡下で図-1の大ブロック①~④の中にある白血球をカウントします。
  3. はじめに①の左上のマスから数えはじめ、図-2の矢印の順序にしたがい16マス内を計数します。こうして4つの大ブロック内にある白血球をすべて数えます。境界線上にある白血球は、重複をさけるため、図-2のように相対する辺いずれか一方の線上にある物だけを数えます。
  4. 以上により求めた白血球総数をxとすると、血液1μL(1㎣)中の白血球数χは、X=x/4×5(計算室の深さ)×10(希釈倍率)=12.5x
    ●Xを1,000倍すると1mL中の白血球数になります
    ●希釈を行わない時は希釈倍率の数字を1にします

すベての大ブロックを使用した算定法

髄液中の細胞など絶対数の少ない細胞の算定には計算室全体を使用します。

  1. 裏面記載の使用方法にしたがい希釈液を計算室に入れ、100倍顕微鏡下で細胞数をカウントします。粘度の高い原液をそのまま算定する場合には適量を計算室に滴下し、その上から気泡が入らないよう注意しながらカバーグラスをセットします。
  2. はじめに図-1の左上の大ブロック内から数えはじめ、図-2の矢印のように順次右方向、下、左方向へと16個すべての大ブロック内にある細胞を数えます。各大ブロックの境界線(3本線)上にある細胞は、童複をさけるため、図-2のように相対する辺いずれか一方の線上にある物だけを数えます。
  3. 図-2の、2本線で区切られた16マスの集合体(中ブロック)①~⑤の中にある赤血球を数えます。はじめに①の左上のマスから数えはじめ、図-4の矢印の順序に従い16マス内を計数します。こうして5個の中ブロック内にある赤血球をすべて数えます。境界線上にある赤血球は、重複を避けるため、図-4のように相対する辺いずれか一方の線上にある物だけを数えます。
  4. 以上により求めた細胞総数をcとすると、検体原液1μL中の細胞数Cは、C=c/16×5(計算室の深さ)×10(希釈倍率)=3.125c
    ●髄液:希釈液=9:1の時、希釈倍率は10/9倍、C=0.347c となります
エオジノフィルカウンター(タ夕イ)計算盤は、絶対数の少ない細胞の算定積度をより高めるため、計算室容積が合計10μLと大きく、1回の箕定でフックス計算盤3枚分の容量が処理できます。また希釈倍率を10倍に設定すると、カウント数がそのまま検体原液1μLあたりの細胞数となります。好酸球、好塩基球、髄液中の細胞等の算定に便利です。
※上記算定法は一例です